フランスのLGBT映画「アデル、ブルーは熱い色」

「アデル、ブルーは熱い色」の作品情報と感想です。

「アデル、ブルーは熱い色」作品情報

【公開年】 2013年
【監督】  アブデラティフ・ケシシュ
【主演】  アデル・エグザルホプロス、レア・セドゥ
【時間】  179分
【ジャンル】ドラマ、ロマンス
原作】
グラフィックノベル「ブルーは熱い色」(作者:ジュリー・マルオー)
【filmarks】
「アデル、ブルーは熱い色」
【この作品について】
第66回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞し、批評家からも高い評価を受けました。

感想(ネタバレあり)

衝撃でした……

U-NEXTでたまたま見つけたこの作品。(現在はAmazon Primeのみで配信※2024年2月25日現在)
尺が179分となかなか根気のいる作品だったので躊躇いましたが、見始めたら止まらなくなって、後半はずっと号泣してました。

まずブルーヘアーのエマが美しすぎて…言葉を失います。

何か奇想天外な事件が起こるでもなく、女の子2人が出会い、恋愛関係になってから別れるまでの一連が3時間を通して映し出されます。

この映画のすごいところは「リアルさ」「美しさ」そして「説明の省略」にあると思っています。

撮影部分以外のカットも使うために役名を本名にしたアデル。そのためか2人の距離感が自然に感じられます。(レア・セドゥも本名での出演を求められたが、レアの中で自身と役は別の存在であり、拒否したそうです。それはそれで役者としての本気度が伝わってきます)

2013年のフランスでどのくらいLGBTが世間に浸透していたかは定かではないですが、2人の恋愛は至って普通です。何か特別な事件などが起こるわけでもありません。そのため「つまらない」という評価をする人もいます。

ですが、この映画の真髄はその語らなさにあると思っています。

2人はしばらく付き合い、エマは美大を卒業して画家を目指し奮闘します。
エマが芸術の仕事に傾倒し仲間と語り合ったりする中で、アデルは孤独感を抑えきれず、2人の恋愛関係は解消します。
その原因はアデルの浮気にあるのですが、そこに至るまでの家庭環境の違い、2人の将来に対する考え方、そして仲間がいるエマに対して、親にもエマとの関係を打ち明けられない孤独なアデルのすれ違いが、映像描写や会話で極めて自然に映し出されます。

浮気が悪いと言ってしまえばそれまでですが、理解のある裕福な家庭と芸術仲間のいるエマ、それに対し堅実でいわゆる庶民であり、高校の友だちにはエマとの関係をからかわれたアデル。アデルにエマしか残っていない状況で仕事に躍起になり、アデルとの時間が減っていくエマ……
2人の関係が浮気の発覚によって突然訪れたものではなく、それぞれの生き様から少しずつすれ違いが生じていたことが、観ている側にのみ分かるようにできています。

何度観ても上手く美しい作品です。

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